基調講演
楊 波 先生(九州工業大学 大学院情報工学研究院 知的システム工学研究系 准教授)
講演題目:
次世代モビリティ:人と機械が共生する未来
講演概要:
次世代モビリティとは,AIやIoTなどの最新技術を活用し,従来の交通手段やシステムを進化させた,新しい移動手段やサービスの総称である.自動運転や自動配送ロボットはその代表的な例である.自動運転技術は,交通事故の削減や渋滞緩和等を図る上で有効なものであり,近年,国内外において技術開発が急速に進展している.日本においては,2023年に道路交通法が改正され,公道での自動運転レベル4の走行が解禁された.自動配送ロボットは,自動運転技術を活用した「物の移動」手段として位置づけられるもので,その実用化によって配達員不足の解消や生産性の向上などの効果が期待できる.特に,ラストワンマイル物流における配送ニーズが急増し,自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスの早期実現が求められている.これを受け,法整備の進展や産官学連携による実証実験が活発に進められ,一定の要件を満たす遠隔操作型の小型自動配送ロボットの公道走行が届出制で可能になった.
自動運転車や自動配送ロボットの普及により,自律走行システムと他の道路利用者が混在する場面は急速に増加し,今まで経験したことのない「人間-機械」の混在交通になりつつある.本講演では,人と機械システムの共存を実現するために,取り組んできた研究事例を紹介する.