基調講演

林 勲 先生(関西大学大学院総合情報学研究科 教授/日本知能情報ファジィ学会 会長)

講演題目: しなやかな行動・判断のデータサイエンス

講演概要:
人は,意思を決定する際に外界の認識や外部とのインタラクションを考慮して総合的に判断する能力を有している.この判断力は「しなやかな判断」や「ソフト知能」と言い換えることもできる.本講演では,脳情報学と工学的データサイエンスの観点から,ソフトコンピューティングを用いた行動・判断決定モデルについて概説する.一般的には,モデルを同定する際には,各種の統計手法を用いて,得られたデータを十分に表現するようにモデルを推定するが,ここでは,むしろデータに着目し,そのモデルがさらに高精度に同定されるようなデータの取扱い方法について議論する.具体的には,行動・判断決定モデルとして3種類の概念を概説し,まずデータを包含する回帰モデルについて説明する.次に深層推論を実現するデータ発生型ブースティングモデルを概説する.最後に培養神経回路網が外界ロボットを制御する多重学習のためのファジィ推論について議論する.なお,可能ならば,ニューラルネットワークによるスポーツスキルの獲得と特異値分解による手招き・歩行動作のスキル獲得についても言及する.