特別講演

林 勲 先生(関西大学)

題目:視覚系ニューロモデルと身体知獲得(林 勲,藤井 政則,前田 利之)

概要:近年,Hubel-Wiesel の階層仮説に代表される多くの視覚系ニューラルネット ワークが提案されている.TAM ネットワークは4 層の階層構造からなり,第一 次視覚野以降の視覚前野を模擬し,ARTMAPの共振学習とビジランス機能を継承 して,パターン認識において有効なモデルである.情報量を用いたプルーニン グ機能により,各層の不必要なリンクとノードを削除して,ファジィルールを 獲得できる.一方,動作を伴う技能スキルの研究では,技能スキルの階層構造 は身体知のメタ認知の内部モデルとして構成化され,状況に応じてメタ認知の 内部モデルから行動プロセスを決定していると言われている.ここでは,卓球 のフォアハンドストロークを例にとり,身体的構造モデルや骨格構造モデルを 用いることなく,TAM ネットワークを用いて身体知の内部モデルを同定する. また,卓球指導者による表象行動の助言を参考にして,熟練性を向上させるた めの単機能技能とメタ技能を技能スキル(身体知)として獲得した.

中嶋 宏 氏(オムロン株式会社)

題目:因果構造に基づくスマートヘルスケア技術への取り組み

概要:私たちの生きる世界は人、人工物、そして自然環境から構成されて いると考えます。人には安全性や快適性、人工物には経済性や効率性、そして 自然環境には環境性など、それぞれに異なった価値観を期待します。明るい 未来に向けて、これらすべての健全性の維持向上が強く求められているのでは ないでしょうか。ここでは、因果構造を中心とした汎用的で円環的なヘルスケア 技術への取り組みと健康や省エネに関する応用事例を紹介します。

講習会

重井 徳貴 先生(鹿児島大学)

題目:アンサンブル学習と様々なモデルへのその適用

概要:アンサンブル学習は、能力の低い学習器を多数組み合わせ、精度の高い学習器 を実現する学習法の枠組みです。学習器は、ニューラルネット、ファジィ推論 モデルなど何でも良く、既存のモデルの能力改善や学習に要する時間の短縮な どの効果があります。本講習では、アンサンブル学習の枠組みについて概説し ます。そして更に、ニューラルネットワーク、ファジィ、ベクトル量子化、 SVM などのモデルへの適用例とその効果について紹介します。